頭蓋骨と背骨をつなぐ関節について

前回は姿勢に関して、いかに重力と折り合うかが問題だと述べました。

そして全身の各関節を微調整して、なるべく筋肉の力を使わずに骨格で体を支える楽な姿勢を探究することを提案しました。

今回はその流れで姿勢に大きく影響する “頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” について書きます。

武術やダンスなどでは身体の中心軸(センター)が重要になりますが、その軸を感じ取るには “頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” の位置感覚が不可欠ではないかと思います。

この関節まわりの筋肉やらなんやらが一緒に固まって大きな一つの塊りのようになっている人はよく見かけます。

そういう人は骨と筋肉の区別が難しい状態になっていて、筋肉が骨の役目を一部担っているように思われます。

“頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” の位置を感じ取ることも難しくなっています。

また、頭痛・肩こり・喉の疾患をはじめ、全身の様々な症状に悩まされていたりもします。

そんなケースでも、骨と筋肉がリリースされてはっきり分離してくると “頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” が自覚できるようになるし、不快な症状が改善されていくことが多いようです。



それではまず頭蓋骨のほうから見てみましょう。

下の画像は、いま私の手元にある頭蓋骨模型です。

“背骨の一番上の骨” と接するところ(=後頭顆)を見やすくするために銀色で塗っておきました。

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銀色に塗られた後頭顆という部位は、だいたい耳の奥のほうに位置しているのが分かるでしょうか。

脊髄が出るための大きな穴(=大後頭孔)の両側やや前寄りにあります。

頭蓋骨は、この後頭顆のところで背骨に乗っかっているわけです。


では次に背骨のほうを見てみましょう。

背骨のうちの首の部分は頚椎(けいつい)と呼ばれます。

頚椎(cervical spine)は7つの椎骨で構成されていて、上から順番に C1, C2, C3, ・・・, C7 と記されることが多いです。

第1頚椎(C1)は「環椎」、第2頚椎(C2)は「軸椎」とも呼ばれます。

下の図では、上から順番に「環椎(C1)の上面」「軸椎(C2)の後上面」「上位4頚椎の後上面」を示しています。

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軸椎(C2)というのは後方から見ると合掌している人のような形をしていますね。

今年4月に私の父親が亡くなって火葬されたとき、火葬場の職員が最初に拾い上げてくれた「のどぼとけ」というのが実はこの軸椎であることに気づきました。

男性なら喉の前側中央付近の突き出たところを一般的に「のどぼとけ」と呼びますが、あれは軟骨なので焼かれると形が残りません。

なんだか紛らわしいですが、形からすると確かに軸椎のほうが「仏」に相応しいような気がします。

何はともあれ、その「のどぼとけ」である軸椎(C2)の「肩」のところに環椎(C1)が乗っていて、さらに環椎の上関節窩というところに頭蓋骨が乗ることになります。

すなわち頭蓋骨のほうの後頭顆と、環椎の上関節窩が、 “頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” を形成しているというわけです。


顔を正面に向けておいて、“Yes, yes …” と言うように軽く頭を縦に動かしてみましょう。

こうして小さく頷くような動きをすると、環椎の上関節窩のところで僅かに頭蓋骨が前後に転がるのが感じられます。

もし感じられないとすれば、 “頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” が固まっていて、下位頚椎で頷いているかもしれません。

それは頭と首が固まって一体となり、首の根元から頷くような動きになります。

“頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” がリリースされていることはとても大事です。

この関節の周囲の筋膜リリースをするだけで、全体的に身体感覚が高まって姿勢や動作がよくなるケースもあります。

“頭蓋骨と背骨をつなぐ関節” の状態が全身に及ぼす影響の大きさを実感します。

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